トレーダー・投資家を目指す人が読むべき参考書

投資家
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トレーダーや投資家を目指している方は少なくありません。ヘッジファンドであれ個人投資家であれ、「勝つか負けるか」「生きるか死ぬか」というプレッシャーは常人には到底耐えられるものではありません。ここでは株式、REIT、債券、先物オプション、FXに関わるトレーダーや投資家が本当に読むべき本を紹介していきましょう。

トレーダー・投資家が読むべき本とは?

投資の基礎

トレーダー・投資家がまず読むべき本とは、投資の基礎知識に関する書籍です。

「なんだ当たり前じゃないか」「基礎くらい自分もわかっている」「基礎なんか役に立たないよ」と思う方も多いでしょう。陳腐な言い方をすれば無知の知とでもいいますか、基礎知識を知らずに基本に従わないのか、基礎知識をすべて身につけた上であえて基本に従わないのはまったく別のことです。

基礎知識とは、株式や債券・投資信託とは何なのかといった「商品に関する知識」、ヘッジや分散投資とは何かといった「投資・運用に関する知識」、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違いなど「分析手法に関する知識」などがあげられます。ここでいう基礎知識とは証券アナリストが知っているようなレベルの知識です。

もちろん実際に投資を行ったり応用面を学んだりする中で、基礎知識を改めて振り返り理解を深めることも重要です。

運用スキルの向上

基礎知識を身につけた人が読むべき本とは、運用スキルを向上させるための本です。

基礎を学んだらあとは実際に運用する上で、投資方針を定めるための運用スタイルやより収益を上げるための投資スキルを身につけていきます。

重要なことは様々な投資のスタイルやスキルを知っておくということです。市場は生き物であると言われるように、市場では常に同じ手法が通じ続けるわけではありません。市場で生き残るためには、様々な知識を入れておき、そのときどきで一番有効なものを適用していき、環境が変わってきたら別のものを利用していくということが必要です。

また、分析手法やチャンスを検出するためのシグナルなども研究し、日々アップデートしていくことも有効です。

トレードにおける心理

運用スキルを学ぶことと同じ、またはそれ以上に重要なのがトレードにおける心理を学ぶことです。

「精神論かよ」「なんだか信用できない」と、トレードにおける心理を軽視する初心者は少なくありません。しかし現代では市場が非効率であるという行動経済学の重要性は疑いようもなく、トレードにおいて陥りがちな行動は心理学に基づいており、健全なトレードを継続するためには不可欠なものなのです。

人間であれば誰しも陥りがちな心理や行動を学び、そのような大衆心理・衆愚行動から一線を画すことで大きな損失を防ぎ、相場から退場しないようにしましょう。

ここからは各ポイントでおすすめの参考書をあげていきます。

投資に関する基礎知識について

ウォール街のランダム・ウォーカー

もはや言わずと知れたインデックス投資についての名著です。

私はインデックス投資信者ではないのですが、それでもインデックス投資の優位性にについての主張や、投資を行う上で知っておかなければならないランダム性について、まずはこの一冊から理解しておく必要があります。

バートン・マルキール(著)、井手 正介(翻訳)

ETFはこの7本を買いなさい

投資信託の比較ではおなじみのモーニングスター社の社長が著者です。

インデックス投資を重視している点は個人的には残念ですが、ETFによる分散投資方法、ETFを選ぶポイントが丁寧に説明されている点には好感がもてます。

ちなみに「バンガード全世界株式(VT)のETFを使えば世界中にもっとも安く簡単に分散投資できる」と巷ではよく言われていますが、実はバンガード全世界株式(VT)と実質的に同等の投資をもっと低い手数料で行う方法があると紹介するなど、目からウロコの情報も多いです。

本当にお金が増える投資信託は、この10本です。

現在取引可能な投資信託の数は6,000を超えており、その中から本当に有効な投資信託を選ぶことはプロであっても難しいです。

その中でもプロが厳選して選んだ10本の投資信託が紹介されており、なぜお得にならない投資信託が多いのか、というエッセンスが詰まった本です。

私自身はインデックス投資信者ではありませんし、銀行などの窓口(いわゆる窓販)でのみ購入できる有力なアクティブ型の投資信託は他にもいくつかあるのですが、それでも投資信託を選ぶポイントとしては参考になるでしょう。

システムトレード 基本と原則

この書籍のタイトルは「システムトレード」となっていますが、いわゆる自動売買トレードのことではなく、ややミスリードなタイトルとなっています。

内容としては「いかにトレードの世界で生き残り結果を出すか、そのための基本と原則」とでも言いましょうか。初心者や中上級者でもやってしまう投資の「あるある」な失敗行動、そしてその失敗がどのような心理状態によりもたらされるのかという点まで含めて書かれています。

多くの成功したトレーダーが大きな資産を築くために支払った相場への授業料は、もはや数えきれないほどでしょう。初心者がそのような多額の授業料を支払わならないために、つまずくポイントを解説してくれます。

新マーケットの魔術師

この本は全米のトップトレーダーたちへのインタビュー、つまり体系立てた知識本というよりは、トレーダーたちが何をどう考えトレードを行なっているのかという内容になっています。

特徴としては「負けているトレーダーへのアドバイス」や「勝つトレーダーと負けるトレーダーの差」について、成功したトレーダーへ意見を求めていることです。FX、株式、債券、先物オプションと、様々な分野の成功者が登場します。彼らも成功するまでには数々の失敗を経験しており、そこで得られた教訓を惜しげもなく語ってくれます。

技術的な面よりも投資戦略や心理(メンタルコントロール)に焦点を当てた本であり、多くの人が入門書として読んでおくべき一冊です。

より実践的な投資の知識・スキルについて

金融マーケット予測ハンドブック

投資に関する経験がもっとも分かれるてくるのが、あるニュースがどのように金融マーケットに影響を与えるのかという点です。貿易戦争が為替市場に与える影響、株式市場に与える影響などを考えてみると、すぐに論点が思いつく人というのは投資に対する感性が高いといえます。

とはいえそのような知識はすぐに身につくものではありません。この本では、そのようなニュースや指標がどのようにマーケットに影響を与えるかを解説した本です。

短期であれ長期であれ、テクニカルであれファンダメンタルであれ、最終的には大きなニュースにより発生するトレンドをつかむ必要があります。

私も自信のない指標を目にしたときには、まずは手元でこの本から調べていくようにしています。

三井住友信託銀行マーケット事業(著)

アセットアロケーションの最適化

投資のパフォーマンスは9割以上がアセットアロケーション(資産配分)により決定されているという話は、その説が正しいかは議論する余地がありますが、多くの人が聞いたことがあるでしょう。

英国のヘッジファンドAHLに在籍していた著者は、実用的なアセットアロケーションの戦略やその手法について本著で余すことなく語っています。

私の経験では、アセットアロケーションを気にするのは比較的スパンの長い投資を行う投資家なのですが、数億円くらいのある程度の資産額を超えてくると、流動性やマーケットインパクト、リスク管理の観点から同じ資産でトレードを続けていくことが難しくなります。

数年から10年以上のスパンで大きく資産を増やしたい方にとっては必読の一冊となるでしょう。

ヘッジファンドのアクティブ投資戦略

日本を含む多くのマーケットで、ヘッジファンドは無視できない存在です。一説によれば、相場急変時の暴落は、ヘッジファンドがロスカットルールによりポジションを大量に手仕舞うことで大きく増長させられていると言われています。

それほどマーケットに大きな影響を与えるヘッジファンドですが、超大口の資産家を除いてその運用内容を知っている人は多くありません。本書は世界でも有力なヘッジファンドであるAQRに在籍していたアカデミック系の元トレーダーが書いた一冊です。

運用パフォーマンスの分析に必要な知識はもちろん、ヘッジファンドが収益として狙うアービトラージ手法や運用方法を学ぶことができる貴重な本です。

ヘッジファンドを目指す方だけでなく、マーケットの大きな参加者を知るという意味で投資家が読んでおく価値があります。

ラッセ・ヘジェ・ぺデルセン(著)、内山 朋規(翻訳)、角間 和男(翻訳)他

先物市場のテクニカル分析

和訳されているテクニカル分析の数ある書籍の中でも、この本ほど多くのプロに読まれている本は他にはないほど、有名な本です。

本のタイトルには先物と書いていますが、株式、FX、暗号資産(仮想通貨)など、様々な資産クラスに通じるテクニカル分析のすべてが記載されています。

トレンドライン、チャートパターン、移動平均線、オシレーターと、様々なテクニカル分析の手法を体系だてて豊富なサンプルとともに解説されています。もちろん、実際にトレードをする際の使い方も説明されており、トレードへの実践にも役立ちます。

なお、主要なテクニカル分析として「一目均衡表」と「ボリンジャーバンド」等の詳細が説明されていない点だけは減点ポイントですが、それを補って余りある充実した内容です。

チャートを用いたテクニカル分析をオカルト扱いする人もいますが、2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナショックなど、相場の急変時にはファンダメンタルズ分析は全く役に立ちません。テクニカル分析でさえ平常時の分析は役に立ちませんが、それでも投資家の悲観や将来への期待などの情報をもっとも多く含んでいるのがチャートであり、海外ではチャート分析はCFA(米国証券アナリスト)等でも問われる内容です。

テクニカル分析を行う上では必読の本です。さらにこの本を全面的に改定&増補したもので「マーケットのテクニカル分析」があり、内容が若干増減していますので、合わせて見ておくとよいでしょう。

稼ぐFX 実戦の極意

元外資系銀行ディーラーの著者が、FXで勝つ為の実践的なスキルを惜しみなく解説した本です。

ファンダメンタルについての解説が非常にわかりやすく、各通貨の特徴や重要経済指標の読み方がポイントでしょう。「金融マーケット予測ハンドブック」と合わせて読んでおきたい本です。

タイトルからわかるようにFX投資家向けの内容ですが、各国の動きまで見るときには通貨も含めて知る必要があり、個人的には非常に役に立つ本だと思います。

投資における心理や行動について

デイトレード

全米最強のトレーダー養成機関「プリスティーン」が、デイトレーダーとして株式相場で成功するための心構えを凝縮した、勝者のセオリーを初公開した内容となっています。

「マーケットの機微を知って、賢い側に立てるように自分を鍛えることが重要である」という本著の教えが、すべてのトレーダーにとって普遍的な叡智であることは疑いようがありません。

デイトレードに限らず、投資を行うすべての人に触れてほしい本です。

オリバー ベレス(著)、グレッグ カプラ(著)、Oliver Velez (原著)他

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて

この本は投資のためのテクニカルな本でもなく、メンタルコントロールの本でもなくというあまり他に例を見ないジャンルの書籍です。

チャートを見ていて、大きく一方向に動くと、予測の方向に動いたのにエントリーできなかった場合には機会を逸してしまった後悔の感情が沸くでしょう。一方、理屈がたたず確信できない場面は多々あり、どのタイミングで入れたのか、入らなくて正解だったのか結論を出せないことがほとんどです。

ランダム性とコンセンサスがとれた場合の違いの重要性、つまりランダム性が収束する「勝つ確率が高いポイント」を探す事の重要性に気がつかせてくれる一冊です。

トレーダーの精神分析

ご存知ウィザードブックシリーズからの一冊です。

著者は米国の医科大学で精神医学と行動科学を教える客員教授です。自身も投資家でありながら、シカゴにあるプロップファーム(自己売買専門会社)のキングズトリー・トレーディング社のトレーダー指導顧問として、多くのプロトレーダーを指導・教育やトレーダー訓練プログラムの作成などに当たっているなどの実績があります。

「トレードに精神は必要なく、優位性の高い自分のルールに従ってトレードすればいい」と言うのは簡単ですが、多くの投資家が実行できずに相場から退場しているのが現実です。自分の性格を考慮して売買ルールを作るという点で、本書は役に立つでしょう。

高勝率トレード学のススメ

ご存知ウィザードブックシリーズからの一冊です。

トレーディングで成功するためには莫大なスキルと知識が必要なのは言うまでもありませんが、取引を続けていく上で最も重要なのはマインドセットです。「勝者への道はマインドセットに始まり、マインドセットに終わるといっても過言ではない。」と熱く語っています。

テクニカルな点も触れられていますが、ある程度勉強された方にとっては、リスク管理やメンタルコントロールについて学ぶ本となるでしょう。

ザ・トレーディング

著者が20年以上前に出版した「投資苑」という書籍をベースとして、大幅に加筆・改訂し新たに出版された本です。

「数十年に及ぶトレーディング人生を通じて学んだ重要な教訓の集大成」と著者自身が語るように、心理面の構築から具体的なトレード技術、さらにマネジメントに至るまで幅広い範囲がカバーされています。

トレードの記録を作ることは面倒で軽視しがちですが、リスク管理、銘柄選定などをプロセスとともに結果を記録に残すことで客観的に振り返り、次のトレードへ活かすことは、どのステージの投資家にとっても重要です。

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