デリバティブや金融工学を勉強したい人におすすめの参考書(フロント運用編)

アクチュアリー

金融機関や運用会社では資格取得が求められていることはもちろんですが、より深い専門的な勉強が欠かせません。学生の方も金融工学を学ぶ人にとっては壁を感じることも多いと思います。今回はファンド運用、特にクオンツに向けた基本となる参考書を紹介していきましょう。

金融工学を勉強するには?

金融工学を勉強している方にとって、基本的な論点を押さえてある専門書は不可欠な情報源です。

私の主観として、金融工学の分野としてはフロント側のトレーダー・クオンツ的な領域と、ミドル側のリスク管理的な領域があり、似ているようで似ていない、見えない棲み分けがあるように思えます。その中でも今回は「フロント運用」の領域にフォーカスをあてていきましょう。

フロント運用の参考書を選ぶポイント

フロント運用の分野で参考書選びのあるあるポイントに「数式の証明」「ジャンルの網羅性」があります。

どういうことかというと、フロント運用の参考書には、あまり数式に頼らない本が存在しています。中には数式の解説がないにもかかわらず、あたかも所与の数式を前提に紹介されている本が巷には溢れているのです。すでに高いレベルで理論を習得し実務に取り組んでいる方にはそのような本が求められているかもしれませんが、少なくても金融工学を学ぶという観点からは有用と言い難いものです。

困ったことに、そのような数式への取り組み方は非常に危険です。なぜなら全ての数学的記述はあくまで現在をある形でモデル化して表現したものに過ぎず、様々な前提を把握しておかなければ、ファンドが恐ろしい額の損失を抱えることになるからです。

今回は金融工学を勉強したい方にとって有用な、少なくてもある程度のレベルで勝目を含む数式が紹介されている本の中から、私が有用だと感じた本を紹介していきましょう。

金融工学入門

ルーエンバーガー氏の「金融工学入門」がその道ではとても有名な書籍であることは疑う余地がありません。しかし、一体どれほどの人がこの本の証明を理解できているでしょうか?

金融工学に用いられる確率論は本来的に測度論と深い関係にあるのですが、この本ではそのような難解な部分はあえて詳細が避けられており、ほどほどのちょうどよい記載となっています。

初学者の方にはもちろんのこと、すでに基礎を学んだ方にとっても調べ物に使えるなど大変有用な本であると言えるでしょう。

デービッド・G.ルーエンバーガー (著), 今野 浩 (翻訳), 鈴木 賢一 (翻訳) 他

新・証券投資論I・II

この本は先に紹介したルーエンバーガー氏の金融工学入門に並び有名な参考書です。どちらかといえば、金融工学入門はクオンツ向け、こちらの「新・証券投資論」は、アナリストや現物のファンドマネジャー向けとなっているように思えます。

とはいえ、「新・証券投資論」は、より実用的な記載が多く、実務でも少し調べ物をしたい時に役立つ場面が数多くあります。

また、この本は日本の証券アナリスト試験の参考図書となっているだけでなく、アクチュアリー試験でも教科書として指定されています。つまり、この本の内容は必ずしもフロント運用担当者だけでなく、リスク管理に携わる方においても求めらていれる知識だといえます。

小林 孝雄 (著), 芹田敏夫 (著), 日本証券アナリスト協会 (編集)
小林 孝雄 (著), 芹田敏夫 (著), 日本証券アナリスト協会 (編集)

フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕 ―デリバティブ取引とリスク管理の総体系

この本のことを知らなくても、著者についてはご存知の方も多いのではないでしょうか?そう、この本の著者は将来の利子率モデルであるハル・ホワイト・モデルで有名な、あのジョン・ハル氏です。

基本的なデリバティブモデルについてはあらかた触れられており、デリバティブに携わる方ならば理解しておく必要があります。この本はなかなか分厚く読破も大変ですが、和訳された本の中では最も網羅的な参考書のひとつであることは間違いありません。

版が進むごとに内容が充実してきていますので、旧版を持っていても最新版が出るたびに買い直す人がいるほどの名著となっています。「金融工学入門」「新・証券投資論」をマスターしたならば、必ず読んでおきたい一冊です。

ジョン ハル (著), 三菱UFJモルガン・スタンレー証券市場商品本部 (翻訳)

資産の価格付けと測度変換

この本は見た目はさほど分厚いものでないのですが、金融工学を測度の観点で記載している貴重な本です。

内容も金利デリバティブやクレジット評価など、欲しいジャンルが書かれており、まさに痒いところに手が届くような本となっています。

専門的すぎるせいか書店で並んでいることはまずないので、ネット通販等を通して購入することをお勧めします。また、この本のシリーズ「金融工学の新潮流」はなかなか深い内容となっているため、ある程度のレベルになり、興味のあるタイトルがあれば購入を検討してもよいでしょう。

木島 正明 (著), 田中 敬一 (著)

期間構造モデルと金利デリバティブ

この本は名前の通り、金利および金利デリバティブに特化した内容となっています。「資産の価格付けと測度変換」よりは平易なところから記載されており、読みやすくなっています。

期間構造モデルの紹介に止まらず、そのモデルの限界についても触れられており、モデルの開発に携わる方にも有用な本であるといえます。

こちらも専門的すぎるせいか書店で並んでいることはまずないので、ネット通販等を通して購入することをお勧めします。また、この本のシリーズ「現代金融工学」もいくつか書籍が出ていますので、興味のあるタイトルがあれば購入を検討してもよいでしょう。

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