アクチュアリーや金融工学を勉強したい人におすすめの参考書(リスク管理編)

アクチュアリー

金融機関や運用会社でお仕事されている方には資格取得が求められていることはもちろんですが、より深い専門的な勉強が欠かせません。学生さんも金融工学を専攻していると壁を感じることも多いと思います。今回はアクチュアリーや金融工学を勉強したい人に有用なリスク管理の参考書を紹介していきましょう。

金融工学を勉強するには?

金融工学を勉強している方にとって、基本的な論点を押さえてある専門書は不可欠な情報源です。

私の主観として、金融工学の分野としてはフロント側のトレーダー・クオンツ的な領域と、ミドル側のリスク管理的な領域があり、似ているようで似ていない、見えない棲み分けがあるように思えます。その中でも今回は「リスク管理」の領域にフォーカスをあてていきましょう。

リスク管理の参考書を選ぶポイント

リスク管理の分野で参考書選びのあるあるポイントに「定性と定量のバランス」があります。ある意味この点がもっとも参考書選びで重要なポイントといえます。

どういうことかというと、リスク管理の参考書には、なぜか極端に「定性的な」記載に偏った本が存在しています。当初私も戸惑ったのですが、数式の解説がなく、「リスク管理の実務」みたいな記述が何百ページと紹介されている本が巷には溢れているのです。もしかすると実務家にはそのような本が求められているかもしれませんが、少なくても金融工学を学ぶという観点からは有用と言い難いものです。

困ったことに、そのような「定性的な」本であるのかは表紙からなかなか判断できず、専門家の紹介がなければ有用な本なのかも読むまではわからないものです。本のタイトルに「実務への指針」とか、それとなく記載してくれるとわかりやすいんですけどね。

今回は金融工学を勉強したい方にとって有用な、少なくても数式が紹介されている本の中から、私が実務上も有用だと感じた本を紹介していきましょう。

リスクマネジメント

金融機関(主に銀行)をとりまくリスク環境の全貌がわかり、リスク分析をする上での全体を俯瞰するマップを得ることができる良本。内容としては信用リスク管理にやや重きが置かれており、定量的・定性的な記載のバランスが程よい記載となっています。

金融機関で実務経験が深い方にとってある程度知っているべき内容がまんべんなく解説されており、金融工学の精緻なモデルを研究している人にとっても、現場の雰囲気を知ることができるでしょう。

ミシェル クルーイ (著), ロバート マーク (著), ダン ガライ (著) 他

フィナンシャルERM: 金融・保険の統合的リスク管理

統計学をそれなりに学んだ方にとって、金融・保険分野への応用を広く知ることができる参考書。内容としては基本的な部分がよく解説されており、逆に統計学に詳しくない方にもおすすめしたい参考書となっています。

金融機関で少しでも統計的にリスク管理に携わる人にとっては知っておくべき数学的な理論がまとまっており、必ず内容を押さえておくべき必携の本だと思います。

難点として、まだ新品が入手可能なのですが、大型店舗でも店頭ではなかなかお目にかかれない本となっています。また、読んでいてさほど気になるほどでもないのですが、やや遠回しな和訳表現が散見されます。

定量的リスク管理 -基礎概念と数理技法-

私が知る限り、和訳されている本の中でもっとも専門的な数学的記述がなされている、まさに専門書と言える一冊です。この本よりも高いレベルでの記載は、原著をあたる他ないでしょう。それくらい高いレベルで記載されています(と思います)。

金融工学そのものというよりも、制御工学の本と捉えることもできるでしょう。計算の手法と応用例についても言及されており、このレベルでリスク管理を数学的に捉えられている方は数理的な素養に非常に優れているのでしょう。

最近では新品の入手が困難になってきたようです。残念ながら、この本に並ぶレベルで薦められる書籍を私は知りません。価格以上の価値があり、もし見かけたら迷わず購入して損はない至高の一冊だと思います。

Alexander J. McNeil (著), Ruediger Frey (著) 他

銀行経営のための数理的枠組み―金融リスクの制御

この本は金融工学そのものというよりも金融機関がとっているリスクの分解について詳細な解説がなされている貴重な本です。トレーディング勘定という言葉は業界ではよく使われる単語ですが、そのリスク分解については意外と知られていません。

内容は大学院の講義で取り扱われているレベルとのことですが、章末でとりあげられている問題は適度に難しいものが含まれています。原著が日本語ですので、安心して読み進めることができるでしょう。

比較的最近の書籍となっていますので、扱われるトピックもより最近のものとなっています。

XVAモデルの理論と実務

この本は近年デリバティブで注目されているカウンターパーティーリスクの計量に焦点を当てた珍しい参考書です。

リーマンショックを契機にデリバティブ関する取引慣行が大きく変化した状況下、金利デリバティブ・プライシングにおけるカウンター・パーティ・リスクの考慮は必須となっています。本書はXVAと呼ばれる、CVAに加えDVA・FVA等を含めたバリュエーションを紹介しています。

近年注目されているホットなトピックですので、デリバティブのリスク管理に携わる方は一度はチェックしておくべきでしょう。

定量的リスク管理の実務―流動性リスク管理、FTP、リスク統合、ストレステストの実践的手法

この本はこれまでの参考書と打って変わって実務面に重きをおいた本となっています。どちらかというと金融工学そのものが内容というよりも、どのように流動性リスクやストレステストに応用するかという観点で有用な本となっています。

シナリオに基づく流動性の管理および流動性リスクの計測と管理の方法、ファンド・トランスファー・プライシング(FTP、社内資金移転価格)を実務でどのように利用し価値を創出するかは他の本ではあまり語られておらず、この記載を読むためだけでも購入する価値はあるでしょう。

こちらも比較的最近の書籍となっていますので、扱われるトピックもより最近のものとなっています。

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