アクチュアリー試験おすすめの参考書と勉強法(1次試験)

アクチュアリー
アクチュアリー

アクチュアリーといえば保険会社や信託銀行でビジネスの中心として活躍を見込める専門職です。待遇面でも高い報酬が得られる一方、その試験の難易度は数ある資格試験の中でも最高峰にあたります。ここではアクチュアリー1次試験合格に向け勉強に役立つ参考書を紹介していきます。

アクアチュアリーの1次試験を対策するには?

アクチュアリーは高い待遇が期待される一方、合格者数も少なく信頼できる試験の情報源は限られています。既にアクチュアリー関連の業務に携わっている方ならまだしも、アクチュアリー業務と関わりの少ない企業や部署、学生の方にとっては対策方法がわからず非常に苦戦することが予想されます。

特に1次試験の科目に若いうちに合格しておくことで、将来のキャリアが広がることは間違いありません。そのため、いかに1次試験に効率よく合格するかが肝であるといえますね。

ここではいかに少ない勉強時間で効率よく試験合格するかに焦点をあて、参考書を紹介していきます。

1次試験の勉強のポイント

アクチュアリー1次試験は大きく3つの分野に分かれます。これらをいかに効率よく勉強し、合格点をとるかが重要です。

1つ目の分野が「数学」と「損保数理」です。これらは確率の計算や確率分布について理解しているかを問われます。重複する範囲も多いので、この2科目はまとめて勉強すると効率的です。

2つ目の分野が「生保数理」と「年金数理」です。この2科目ではアクチュアリー記号と呼ばれる特殊な表現記法を用いますが、それらの記法について活用できる必要があります。また、この生保数理の中でも年金保険のような基礎的な年金数理の知識を使いますので、勉強のシナジーがあります。

3つ目の分野が「会計・経済・投資理論」です。この科目は他の1次試験科目と独立性が高く、試験としてはとっつきにくいところもあるかもしれません。しかし、実務的な観点ではかなり重要な分野であり、ポートフォリオ理論は実務上も理解することが求められます。

難易度としては、数学 ≒ 会計・経済・投資理論 < 生保数理 <= 年金数理 << 損保数理というイメージです。損保数理は他の科目よりも圧倒的に計算量・難易度が高く、1次科目の中でも最後まで残ることが多いでしょう。逆に数学、会計・経済・投資理論は難易度は(相対的には)低く、もし学生の方がチャレンジするのであれば、この2科目から勉強すべきでしょう。

ここからは各科目でおすすめの参考書をあげていきます。

数学

統計学入門

統計学の真面目な教科書としてよく薦められることが多い本で、アクチュアリー数学のモデリング以外の論点はほぼ網羅されています。

数学の科目の教科書ですが、損保数理の基礎としては確実に理解している必要のある本です。

東京大学教養学部統計学教室 (編集)

明解演習 数理統計

こちらは数学の演習書として有用な本で、公式の問題集よりもポイントがまとまった書籍として人気のある本です。

この本の類似問題が本番で出題されることが多く、演習書として非常に有用です。解答やコラムには初学者が誤解しやすいポイントが解説されており、一読の価値がありますね。

統計学を勉強したことがある人は、統計学の教科書を購入せず、この演習書だけで合格する人も多く、手元においておきたい本のひとつです。

アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 数学

アクチュアリー受験研究会と呼ばれる有志サークル(?)の方が出した本です。

初学者で「どうしても試験の勘どころが掴めない」という方には、この本で出題傾向を研究することが必要になります。

理論よりも試験対策に特化した本となっています。またこのような本が世に出てきたせいか、問題の出題傾向がこの本の記載を避けるようになってきたような気がします。

損保数理

例題で学ぶ損害保険数理

損保数理試験対策において、必携と呼ばれている本。

実務で用いられる基本パターンをうまく解説されている。アクチュアリー受験者は、試験上も実務上もこの本で書かれている例題は全ての解法を理解しておかなければならない。

私の経験では、損保数理で全ての問題を時間内に解くことが不可能に近く、基本的な出題や問題集にあげられているようなパターンで点を稼がなければ、合格は極めて難しい。年によっては合格基準点が調整されているものの、60%得点することがいかに難しいか思い知ることになります。

小暮 雅一 (著), 東出 純 (著)

アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 損保数理

アクチュアリー受験研究会と呼ばれる有志サークル(?)の方が出した本です。

より基本的なポイントでつまずく受験者にとっては、試験の勘どころを掴むためにはこのような本で出題傾向を研究することも必要になります。

損保数理では上記の「例題で学ぶ〜」が絶対的なバイブルですので、あくまで補助的に使うことになりますが、試験を研究している方々が書いた本だけあって、一読する価値はあります。

生保数理

アクチュアリーのための 生命保険数学入門

生保数理・年金数理の良書がない中、この本を参考書として選ばざるを得ないというのが現実です。

アクチュアリー会公式の教科書よりも数学的な記述がされており、理論を理解する上では重宝しました。

公式の教科書の問題だけでは演習が足りないと感じる方には、この本で演習を重ねるべきでしょう。

京都大学理学部アクチュアリーサイエンス部門 (編集)

アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 生保数理

アクチュアリー受験研究会と呼ばれる有志サークル(?)の方が出した本です。

より基本的なポイントでつまずく受験者にとっては、試験の勘どころを掴むためにはこのような本で出題傾向を研究することも必要になります。

公式の教科書ではドライな書き方がされているので、公式教科書がとっつきにくい方にとっては役立つこと間違いありません。

年金数理

年金数理

年金数理にはおすすめできる本がほとんどない中、唯一まともに読める本となっています。

他には年金数理人試験の教科書もあるのですが、なぜかアクチュアリー記号の記法がアクチュアリー試験と微妙に違っており、誤った理解で遠回りをしてしまう可能性が高く、あまりおすすめできません。

この本が分かれば公式の教科書も読めるようになるはずなので、年金数理の導入としては優秀な本だと思います。

田中周二 (著), 小野正昭 (著), 斧田浩二 (著)

アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 年金数理

試験で使える実用的な本がなく年金数理の対策には多くの人が苦労したと思いますが、2020年7月にアクチュアリー研究会から待望の参考書が登場しました!

アクチュアリー受験研究会代表 MAH

会計・経済・投資理論

新・証券投資論I・II

この本は投資理論の勉強として公式の参考書にあがっています。

実用的な記載が多く、実務でも少し調べ物をしたい時に役立つ場面が数多くあります。

実際の試験ではほとんどがIの範囲で完結します。Iの範囲を一通り読んだ後、過去問に取り組めば十分に合格点に到達できるでしょう。

小林 孝雄 (著), 芹田敏夫 (著), 日本証券アナリスト協会 (編集)
小林 孝雄 (著), 芹田敏夫 (著), 日本証券アナリスト協会 (編集)

入門経済学

経済学の入門書としては簡潔に記載されており優秀な本。

経済の勉強はあまり本を読んでも点に結びつかなので、一通り本の内容をさらい、過去問を解きながら理解を深めるのが正しい勉強法。

経済学特有の抽象的な記述が苦手な人でも、過去問からアプローチすることで合格レベルには達するはずです。

伊藤 元重 (著)

財務会計

俗に「桜井本」と呼ばれる公式の参考書ではなく、もう一方の有名な本をあげてみました。

桜井本は毎年のように版を重ねているものの、内容としては本質的にあまり変更がない。参考書としては、完成度の高いこちらの広瀬氏の著書を薦めたいと思います。

会計分野では財務会計の考え方と、正しい会計処理で計算させる問題が頻出。正誤問題は細かい論点まで問われ地味に難易度が高いため、計算問題できっちり得点し、足切り(会計、経済、投資理論のうち1科目でも40%未満の得点だと自動的に不合格となる)を回避しましょう。

広瀬 義州 (著)
error:Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました