金融関係の仕事をされている社会人の中には米国証券アナリスト(CFA)に挑戦されている方も多いかと思います。似た資格として日本の証券アナリスト(CMA)や国際公認投資アナリスト(CIIA)があるものの、CFAはそれらよりも難易度・取得者の評価が総じて高いと言われています。
比較対象として、レベル的には米国公認会計士(US CPA)と近く、受験者層は運用会社のファンドマネジャー志望ならばCFA、それ以外ならばUS CPAを選択といったところでしょうか。
ここでは米国証券アナリスト(CFA)Level3試験(3次試験)の勉強を振り返ります。
米国証券アナリストLevel3試験の概要
・試験日:6月の土曜日(目安3週目)
午前午後共に180分間
・合格率:54%(過去10年の平均)
・合格点:未公表
※Level3の問題形式は選択形式と記述式です。
Level3は年1回試験が行われていますが、試験の申し込みタイミングに注意が必要です。直前申し込みは早期申し込みに比べ受験料が2倍以上かかるため、受験を決意したらなるべく早く申し込むことをお勧めします。
なお、2021年から他のLevel同様、試験がコンピュータベースに変わっているのですが以前の紙ベースでの試験より難しくなっている可能性があります。2021年5月〜6月に実施された試験では合格率が42%と、1963年の試験開始以来で最低でした。コンピュータベースの試験に切り替わる直前の2020年12月の合格率は56%でしたから、これからLevel3を受けようとしている方は注意が必要です。

受験料(2019年度試験)
Early registration fee | USD $700 |
Standard registration fee | USD $1,000 |
Late registration fee | USD $1,450 |
上記はあくまでも試験の受験料であり、印刷テキストを追加すると配達料としてさらに USD $150が請求されます。つまり3次試験の初回受験の際には、早期申し込みならば費用は最低で$700(112円でレート換算すると、¥78,400)となります。
以下の公式ページも参考にされるとよいでしょう。
参考書の金額
有名どころではKaplan Schweser、新興系だとAdaptPrep等の教材があります。Schweserは最近セット料金の体系が変わったようですが、無駄なものを省くなら以下の組み合わせで$465.54(112円でレート換算すると、¥52,140)と比較的安く済みます。Schweserメインに勉強することを考えると、紙のテキストを手元に置く方が勉強しやすいでしょう。
SchweserNotes Only Package (Printed/eBook/Online) | USD $299 |
Practice Exam Volume 1 | USD $99 |
Shipping | USD $67.54 |
Schweserの公式ページは以下となります。
出題範囲と配点
Level3試験の主題範囲と配点の目安は以下の通りです。
Level1 | Level2 | Level3 | |
Ethical and Professional Standards | 15% | 10-15% | 10-15% |
Quantitative Methods | 10% | 5-10% | 0% |
Economics | 10% | 5-10% | 5-10% |
Financial Reporting and Analysis | 15% | 10-15% | 0% |
Corporate Finance | 10% | 5-10% | 0% |
Equity Investments | 11% | 10-15% | 10-15% |
Fixed Income | 11% | 10-15% | 15-20% |
Derivatives | 6% | 5-10% | 5-10% |
Alternative Investments | 6% | 5-10% | 5-10% |
Portfolio Management and Wealth Planning | 6% | 5-10% | 35-40% |
10の分野に分けられ、Level1・2・3と上がるごとに、上方の基礎分野のウエイトが下がり、下方の応用分野のウエイトが上がっていきます。
難易度としては、Level1、Level2の試験と異なり、日本の証券アナリスト(CMA)や米国公認会計士(US CPA)の合格者でもCFA Level3の試験にはかなりの対策が必要となります。
とりわけ英語での記述方式での回答は、回答方法や表現のコツなど回答に到るまでの時間が必要となり、一筋縄ではいきません。
試験への対策法
CFA試験は公式の過去問題が公表されておりませんので、学習時のOutputは主にSchweser等の問題集となります。もし受験に際して懸念があるのであれば、Level1に引き続きC日本語のテキストに目を通しておくとよいでしょう。また、英語での基礎事項に不安があれば、日本語でインプットする方が早道となります。

しっかり対策すれば、CFA3次試験も決して手の届かないほどの難しさではありません。にも関わらず多くの人が試験につまずいてしまう理由は「効率の悪い勉強」を行なっているためです。参考書選びに時間を費やしているようでは、土台勝負になっていません。まずは必要そうな書籍を手元に揃えておき、必要に応じて使い分けることが重要です。
電卓選びも重要で、電卓を使いこなせるようになるのに苦労しているようでは、貴重な時間を無駄にしてしまいます。適切に選択し、使用方法をマスターしておきましょう。
必要な電卓や参考書についての紹介はこちらから。

私の学習方法ですが、私がCFA3次試験を受けた当時はCMA2次合格済み、US CPA合格済で、Schweserのテキストを一通り読み、問題集やMock Examを繰り返し解きました。特に記述での回答は導出だけでなく表現の仕方もパターン化し、得点を得られるよう工夫しました。
Mock Examは公式模擬試験でありCFAのマイページで公開されています。試験1ヵ月前に取り組み、時間内に問題を解く練習にするとよいでしょう。
英語のエッセイ(ライティング)に自信のない方も多いでしょう。そんな方には「Grammarly」という英文校正サービスがおすすめです。高機能にもかかわらず価格が低く抑えられており無料版もありますから、詳しくは以下のページで見てみるとよいでしょう。

金融業界でのプロフェッショナルとしてのキャリアについては以下の記事から。

最後に
長かったCFAまでの道のりも、Level3受験まで来れば本当にあと少しです。きっと努力は報われます!
CFA資格については以下の記事もご参照ください。